PHASE-04 望むこと、望まないこと

ヘル・ガリバルディは宇宙へ向かう船の中で夢を見た。

――少年が一人うずくまって泣いている。その後ろには廃墟がある。
周りに人は誰もいない。その光景に何故か寒気を覚えた。
その少年に近づくと少年はうずくまったまま声を漏らした。

――どうして・・・。

ヘルは立ち止まる。その少年の声には聞き覚えがあった。
この場所がどこなのかヘルは思い出した気がした。
少年は立ち上がり、顔を上げた。
ヘルはその少年の姿に驚いた。

――どうして僕を一人にしたんだ!!

(君は・・・!!・・・)

船の揺れる音と共にヘルは眼を覚ました。
何が起きているかまったく理解できなかった。

「ヘル!しっかりしろ!!ザフトの追撃部隊だ!!」

フェニクス・リッチーに叩き起こされたヘルは次第に
周りの状況を把握できるようになってきた。
新造艦エターナルの強奪作戦が開始されたのだ。
だがある違和感がヘルを襲った。

「どうして、僕らのザフトのシャトルも狙うんですか?」

エドワウ・ディバッツは不機嫌そうにボソッと答える。

「どうせスミスがチクったんだろ・・・。
 嫌な弟を持ったもんだ・・・。」

そういいながら、ディスク・バイオレットにシャトルの運転を任せ
エドワウはモビルスーツの格納庫へ向かった。

「さ、ヘルさんも出撃してきてください。
 整備は万端ですから!」

ディスクのまぶしい笑顔に追いやられるように、ヘルは格納庫へ向かう。

シートに座り、OSの起動スイッチを押す。コクピットに息吹が吹き込まれる。

ベルトを締めカタパルトの射出位置へモビルスーツを向かわせる。

そして静かに眼を閉じる。

この先に待っているのは雇い主を勝利へと導くためのただの仕事場。

しかし、今回の仕事ほどやり甲斐があって、
生きて帰れる可能性の極めて低い仕事はまず無い。

普通の人間だったらどんな気持ちになるのだろう?
『怖い』と思うのだろうか?

戦闘の為に作られた自分には分からない。
自分が感じるのは『楽しみ』だったり、『嬉しい』という感情なのかもしれない。

おかしいと思われても仕方が無いだろう。

これが自分なのだ。これがヘル・ガリバルディなんだ。

「ヘル・ガリバルディ。出ます。」

眼を静かに開き、前方からしたたかにかかるGを受け止めながらヘルの
ジン・ハイマニューバは戦地へと飛び出していった。

『ヘル!左右前方から合わせて18機!!一気にカタをつけるぞ!!』

リッチーはそう言うと新たに装備したビーム重斬刀を抜き、
ザフトのモビルスーツ群に切り込み1体、2体と両断していった。

『ハーッハッハッハ!!!どうだこの進化した愛刀
 “ネオ・チャッキー・ブレード”の威力は!!』

そう言って爆炎を背に仁王立ちしているリッチーのジンの後ろを
ヘルのジンは高速で通り過ぎた。

『“チャッキー・ブレード・ネオ”でしょう?
 自分の愛刀の名前くらい覚えましょうよ。』

そう言うとヘルは更にスピードを上げていった。

『うるせぇ!!ってかどこに行くんだ!?』

そう振り向くと白銀のシグーとヘルたちの乗ってきたシャトルも
リッチーの頭上を通り過ぎていった。

『“エターナル”はL4にいるアークエンジェルと合流しなければなりません。
 そうしなければ戦闘体制が整わないからです。
 おそらく、今のエターナルにはモビルスーツ並みの小回りが利く戦力はありません。
 だから、戦力をうまい具合に分散させるために、ギリギリの宙域でドンパチやろう。
 と言うわけです。最悪の場合には白馬に乗った王子様が来てくれますよ。』

『お前の例えはよくわからんが、戦力を分散させりゃあ良いんだろう?』

そう言いながら、背後に迫ったジンを斬り捨てると、
リッチーもバーニアを吹かしヘルたちを追いかけた。
それを見たザフトのモビルスーツは慌ててその後を追うが、
グングン引き離されていく。

『何なんだ!?あいつらのスピードは!!』

『しかもあの銀色のシグーは・・・“白銀の衝撃”!!』

『ヤツもザフトを裏切ったんだろう?
 プラントを裏切っておいて生きて帰れると思うな!!』

次第と前方にザフトのモビルスーツの大群が近づいてきた。
それをモニターで確認したヘルはトリガーに指をかけた。

『僕が威嚇射撃をします。撃ったと同時に散開。
 エターナルの宙域脱出まで何とか粘りましょう。』

『あぁ。あれは戦争を終わらせるための旗艦なんだ。
 落とさせるわけにはいかない。』

そうエドワウが強く言うと、ヘルはトリガーを引いた。
すると、ジンのライフルからは鋭い光線が放たれた。
その瞬間ヘルは顔をしかめた。
ヘルは自分のジンがマシンガンを装備しているものだと思ったのだ。
放たれた光線は、エターナルを取り囲んでいたジンの1体を一撃で貫いた。
リッチーとエドワウが散開した後もヘルは少し固まっていた。

『どうしたヘル?』

リッチーがそう聞くと少し間をおいて、ヘルは口を開いた。

『いえ・・・。なんか装備が・・・?』

ヘルがポツリとつぶやくとディスクは思い出したように、
シャトルの通信スイッチを入れた。

『すいませんヘルさん。エドワウと話し合った結果、
 火力が足りないと言う結論になったため、
急遽ビームライフルに換装しました。って言うの忘れてました。エヘ。』

『成る程・・・。まぁ大丈夫でしょう。調整と言うことで使ってみます・・・。』

ため息混じりにそう言うとヘルはバーニアを再び吹かし、
飛び交う銃弾の中心に向かっていった。

『・・・へっ!こいつ等、数だけはいっちょ前だな・・・!』

ジンの大群の右方向に回りこんだリッチーは、
降り注ぐ銃弾を器用にかわし、脚部に着けたパルデュスを前方のジンめがけ放った。
爆炎と共に大破しコントロールを失ったジンに追い討ちをかけるように、
リッチーはチャッキー・ブレードの出力を最大に上げて振りぬいた。
その攻撃は周囲で攻撃を仕掛けていたジンを巻き込み、全てを真っ二つにした。
続けざまに飛び込んでくる銃弾をかわしながら、
反対側に回り込んだエドワウのシグーの方へ眼をやった。

『やってるみてぇだな。』

そう言ってリッチーは再びチャッキー・ブレードを振り回しまくった。

一方、左に回りこんだエドワウも奮闘していた。

『邪魔をしないでくれっ!!』

エドワウのシグーから放たれていく無数のビームは、
相手を行動不能にさせるためだけに必要な部分のみを素早く、的確に撃ち抜いていった。
それでもまだザフトのモビルスーツはエドワウに銃弾を撃ち続けてくる。

『くそぉぉぉぉ!!』

白銀のシグーは上昇し、モビルスーツの大群の上から左腕に装備された
ガトリングガンを乱射した。
シグーの素早い上昇に反応できなかった多くのモビルスーツは、
頭部に無数の穴をあけられて、機能を停止させた。
それでも動けるモビルスーツは死角からエドワウに向かって切りつけてきた。
咄嗟に盾を出しそれを防いだエドワウは、反対側の赤いジンが
ほぼ制圧したのを確認すると、レーザー重斬刀を抜きリッチーに通信を入れた。

『大丈夫みたいだな。』

『あぁ、そっちはどうだ?』

『あと一機をどうにかすればほぼ制圧ってとこかな。
 ヘルと合流して、エターナルの援護に行こう!!』

そう言って白銀のシグーのブースターを吹かし、残されたジンに向かって突進していった。

『うっ・・・うわぁぁぁ!!』

ジンのパイロットが眼を閉じ、死を覚悟した瞬間。
エドワウはすれ違いざまにジンの腕を切り落とし、
頭部に向かって蹴りをお見舞いした。

『退いとけばいいものを・・・。』

中央突破を図るヘルのジンとディスクのシャトルは猛スピードを維持して、
すれ違う敵を次々と薙ぎ倒していった。

『ヘルさん!まずいですよ!!
 思っていたより、エターナルの脱出が遅れてます。
 それに増援部隊の補充も早いです!!』

ヘルは暫く黙りつつも、次々と襲い掛かるザフトのモビルスーツを撃墜していった。

『う〜ん・・・白馬の王子がそろそろ来てくれるはずなんですけどね・・・。
 まぁ仕方ないでしょう。あれが落とされたら僕らの苦労も水の泡です。
このまま突破します。エドワウとリッチーも
 後から追いつくでしょうし、ちょうど時間稼ぎにもなります。』

ヘルはビームライフルを一斉射させ何機かモビルスーツを破壊したあと、
ディスクの操る猛スピードのシャトルに掴まり、戦線を離脱した。

『リッチー、エドワウ!!僕とディスクはエターナルの援護に直接向かいます。
 そっちの足止めは任せますよ!!』

そういった途端、ヘルの目の前で増援部隊のジンがエターナルに向かって、
数十発のミサイルを放った。

「!!」

弾幕では間に合わない数のミサイルだ、さらにモビルスーツのいないエターナルに
これほどの攻撃は防げない。
その時、ちょうどシグーを一機撃墜したリッチーが、
ヘルの進む方向に何かものすごいスピードで接近する白い物体を見た。
リッチーはその白い物体を以前に見たことがある。

『ヘル!!援護の必要は無いみたいだな。
 お前の言う白馬の王子様ってのが御到着だぜ!』

『え?』

その瞬間、一気に何かに追い越された。

『あれは・・・。』

エドワウがモニターで確認すると自由の翼を広げたモビルスーツ『フリーダム』が
エターナルに襲い掛かろうとするザフトのミサイルに立ちはだかった。

『やっと来ましたね。白馬の王子様が・・・。』

ため息混じりにつぶやいた瞬間。
フリーダムから無数の光線が放たれた。
それのすさまじい破壊力をヘルたちは身をもって体感したことがある。
一瞬で爆散するミサイル。そしてすぐさまフリーダムはモビルスーツの大軍に
斬りかかっていった。

『ひゅ〜相変わらず暴れるねぇ、アイツはぁ。』

そう感心しているリッチー達に、テキスト通信が流れ込んできた。

『ん・・・?“Don’t be caught in!”(巻き込まれるな!)・・・。
 皮肉たっぷりのご挨拶じゃねぇか!!』

『なら、後のことはフリーダムに任せて、シャトルに戻ってください。
流れ弾にやられないようにね。』

フリーダムの獅子奮迅の活躍により、エターナルは宙域を脱出した。
エターナルとヘル達が乗るシャトルはL4宙域へと向かった。
彼らが拠点としているのは無人となったコロニー“メンデル”
かつては遺伝子のメッカと呼ばれていたほど様々な遺伝子研究が行われていた。

「ふぅ〜ん。歴史の渦にかき消されたコロニーねぇ・・・。」

リッチーはそうつぶやきながらシャトルを降りた。
ヘルもそれに続いてシャトルを降りた。
その途端に何か違和感に駆られた。

「どうした?ヘル?」

「ここは・・・、まさか・・・研究・・・所?」

そう言いながら膝をついたヘルは、そのまま意識を失ってしまった。


連合軍宇宙本部基地プトレマイオスでは着々とプラント侵攻の計画が立てられていた。
その騒乱のなかにアスタロトと呼ばれている傭兵がいた。
彼が雇われている連合軍特殊強襲部隊、通称粛清部隊と呼ばれている部隊には
プラント侵攻とは別の任務も帯びて行動していた。
その任務とは・・・。

「ヘル・ガリバルディを殺せ・・・か。」

そう言いながら煙の立ち込める部屋に、少年が入ってきた。
ツェップ・ソロモンと言う強化人間だ。

「どうした?今更怖気づいたのか?」

ニヤリと笑いそうアスタロトは呟くと、ツェップは静かに怒りを露わにした。

「アンタはどうなんだよ!!
 カーペンタリアでのアンタの表情。
 アレは俺に近いものを感じたぜ!?
ヘル・ガリバルディとアンタの間には何かあると見たぜ。」

その言葉に反応するように、上向きだったアスタロトの口元は
急に下向きになり、ツェップを睨み付けた。

「俺の過去を探ろうとしないことだな。
 無理にでも探ろうとすれば・・・死ぬぞ。」

立ち上がって、部屋を出ようとしたアスタロトに、
ツェップは話しかけた。

「ケッ・・・。まぁいい・・・。
 五時間後に俺達はL4コロニーに向かうぞ。
 ヘル・ガリバルディ達はそこにいる。」


アスタロトの去った部屋には、ツェップが一人残されていた。
ソファに寝そべって、うなだれているところに、
ソルート・ソロモンが入ってきた。

「彼の正体がなんとなく分かってきたでしょう?」

その声に反応してツェップはムクリと起き上がった。

「ああ。まだ何となくだがな、やっぱりアンタはすげぇな。」

「さてツェップ、今回は新たに配置された戦艦であるドミニオンと共に行動します。
 しかし、それは我々にとっての作戦価値はありません。
 あちらはあちらでやる事もあるようです。
表向きは合同任務ですが、あくまで我々は我々の作戦の遂行を優先します。
お互いに邪魔の入らないように、と言うことです。」

ソルートはそういうと冷たく笑って見せた。
その表情はいつでも自信に満ち溢れ、全てを見透かしているような目をしている。

「そうかい、それなら俺も心置きなくヤツを殺すことが出来るな。」

「第一目標を忘れないでください。我々が殺すべきはヘル・ガリバルディです。」

ソルートがツェップをそう言って制そうとすると、
ツェップは立ち上がり声を荒げた。

「俺はあのフェニクス・リッチーを殺さなければならない!!
 俺はアイツがいると自分が自分じゃ無くなっちまう気がするんだ!
 だから、その前に殺す!!」

ソルートは激昂するツェップをそっと抱き寄せた。

「わかってますよ。それなら仕方がありません。彼も死すべきものですからね。
 しかし、貴方はツェップ・ソロモン。それ以外の何者でもありません。」

「それで良いんだよな・・・。母・・・さん。」

ツェップがそう言うとソルートは肩越しにニヤリと笑った。
ツェップをなだめたソルートは基地内の廊下を会議室に向かい歩いていった

「・・・アズラエルに貰ったあの子も
マインドコントロールに耐性を持ち始めていますね。
そろそろ潮時でしょうか・・・。」

一方、部屋を去った後、仮眠室で仮眠をしていたアスタロトは
ふらりとよろけ壁に手をついた。

「クッ・・・、まだ蠢いているのか・・・、
 もうお前の居場所は無いんだよ・・・。」

寄りかかっていた壁を強く叩くと、アスタロトは黒い笑いを浮かべた。
それはツェップの恨みと似ているが、その比ではない。

「ククク・・・そうか・・・ヘルとお前はL4にいるんだな・・・。
 そこで全て消し去ってやるよ・・・。全てを・・・!」


「・・・ル・・・ヘル・・・。」

――誰かが自分の事を呼んでいる。ここは確か・・・メンデル・・・。

――この声は・・・聞き覚えがある。

「お前だけでも逃げるんだ・・・。ヘル・・・。
 生きて外の世界を自由に生きるんだ・・・!!」

――ダメだ!君も一緒に逃げましょう。

「いたぞ!!逃がすな!」

連合軍の兵士が数人部屋に突入してきた。彼らは銃を構えている。
紫色の髪をした少年はヘルを救命ポッドに突き飛ばし、扉を閉めた。

「じゃあなヘル。元気でな・・・。」

そう言って少年はポッドの射出ボタンを押した。
その次の瞬間、銃声のような音がヘルの耳にとどいた。

――ヘヴン!!――

ヘルは勢いよく起き上がった。

「へrグフ!!・・・」

ヘルは周りを確認した。どうやら医務室にいるようだ。
リッチーがベットのすぐ傍でうずくまり、何やら悶絶していた。

「何やっているんですか?」

「イテテ・・・お前にやられたんだよ!!
 ここはエターナルの医務室だ!!ちゃんとクルーに礼言っとけよ。」

ヘルはしばらくボーっとしていた。
周りの状況が把握できないとヘルは、よくこの状態になる。

しかし自分はどうしてしまったのだろうか?
いつからあんな夢を見るようになってしまったのだろうか?
思えばアスタロトに再開してからよく夢を見るようになっていた。
アスタロトとあの夢に何か関わりがあるのか?
自分の曖昧な記憶にはその事はよく判らない。

そう考えている所に寒気が奔った。
その感覚は以前秘密基地で伴ったものに似ている。
しかしそれ以上にカーペンタリアで味わったものに似ている。
そう、近づいているのだ。あの憎悪と共に――アスタロトが。
そこに大きなアラーム音と共に連合軍と
ザフトの戦艦が近づいていることを告げる放送が流れた。

「おい、ヘル!!奴らが来たぜ!!
 アークエンジェルみたいなのを引き連れてな!!」

医務室にリッチーとエドワウが駆け込んできた。

「わかっています。でも逆でしょう。向こうの作戦の妨害をさせないように
 厄介な僕らを始末するってところでしょう。
恐らく目的は・・・フリーダムとジャスティスのデータ・・・。
いえ、ニュートロン・ジャマーキャンセラーの設計図・・・。
その虎の子のモビルスーツ2機を持っていること以外に
こちらに利用価値はありませんよ。僕が向こうの人間の立場だったらね。」

「それじゃああの2機を出すのはまずいんじゃないのか?」

エドワウは付け足すようにそう言った。

「いえ、出さざるを得ない状況だからこそ狙ったのでしょう。
ザフト軍からもクルーゼ隊が来ているそうですから、
連合にとっては願っても無い、まさかのチャンスでしょう。」

「戦力分散って事か・・・。なら俺達もサッサと出て
あのクソガキ共を蹴散らさないとな・・・。」

リッチーがそう言うとヘルは首を横に振った。
そして、目に付けていたカラーコンタクトを取り外した。
その眼は鈍く光り、なにやら文字のようなものが刻まれていた。

「彼は・・・、アスタロトは僕達の造られた研究所の中では
最もモビルスーツの扱いが得意な戦闘用コーディネーターでした・・・。
蹴散らすのは容易じゃないでしょう・・・。」

ヘルはハッと何かを思い出したようだったが、
その後何も言わずに自分の愛機に乗込んでいった。

メンデルから少し離れた宙域で、ソルートの戦艦は戦闘体制を取っていた。

『チッ・・・相変わらずゴッツイのに乗っていやがる。
それになんだ?あの紫色の悪趣味なヤツは?』

リッチーがそう訝しげに言うとエドワウは、ディスクに照合をさせた。

『皆さん。』

ディスクの声が三人の機体に響いた。

『あれはザフトの最新型モビルスーツの先行試作機。ZGMF−600ゲイツです。
 気を付けてください・・・。あれの装備は全てビーム兵器です!!』

そう言っている所にヘルの高機動ジンが、ゲイツをめがけて駆け抜けていった。

『当たらなければどうと言うことは無いでしょう!
僕らはそういう戦いをしてきたはずです。』

ヘルの強い口調にエドワウとリッチーは驚いた。
特にリッチーは二年近く行動を共にしていて、初めてのことで
尚更驚くことになった。

高速で迫ってくるジンを見て、ツェップは鼻で笑った。

『ど〜するよ?愛しいヘル・ガリバルディ様が
アンタを殺しに来たぜ!?言っとくが俺は手伝わねぇからな!』

ツェップはバーニアを吹かし、リッチーのジンへ向かって飛び去った。

『好きにしろ・・・。それにアイツは殺しに来たんじゃあない。
 殺されに来たんだよ!!』

アスタロトは猛スピードで迫るジンへ、憎悪に満ち溢れた視線を送った。
ヘルも目の前に次第と近づくゲイツを見据えた。

To be continued to…



≪PHASE-05へ続く≫


[あとがき]

いよいよ終盤に突入しかけてきました。
アスタロトの乗るゲイツは完全に彼の趣味で塗装しました。
スーツの色と言い、なんて趣味をしているんでしょう。

ちなみにこの試作ゲイツの元の色は白色です。

後付け設定ですがシルバのゲイツもアスタロトのものと同じ試作型ですが、それをシグーでボコボコにしたダー君は何者なんでしょう??

シャア少佐やスティングの言っていたことは正しいと言うことなのでしょうか??
作った自分ですらよく分からなくなりました。