愛。

其れは求むる事。底無き欲望。

どれだけ求めても欲しても、決して満たされぬ心の渇き。

どれだけ掌を重ね、掬い集めようと試みても、僅かな隙間から一滴、また一滴と雫は零れ落ち、決して満たされることの無い、そんな切望。


其れはなんと醜く浅ましい感情か?

例えるならば、其れは深海の蒼きに似ている。


一片の光すらも届かぬ暗き闇の中で、僕は貴女を求め続ける。



愛。

蒼く、醜い原初の感情。

其れが僕の身体を包み込み、支配し、そして侵食していく。



怒り。悲しみ。憎悪。

全てが入り混じった複雑な感覚。


次第に僕の精神は、其れら全てを貪食し、鯨飲し、内包していく。


最早、其れらが僕の一部なのか? 僕が其れらの一部なのか? それを判別する事は出来ない。


既に停止した僕の思考は、さながら廻り続ける永久機関の如くに、貴女の事を追い求める。


一体貴女は何を欲しているのだろう?

一体貴女はどの様な存在になりたいのだろう?

一体貴女は何処に到達したいのだろう?


其れは僕には永遠に届かない答えなのかもしれない。


僕は唯、負の感情を暴食し続け、肥大し続けるだけの醜く愚かな存在に過ぎないのだから。


それでも僕は望む。欲する。探し求める。

この世で最も美しく、最も大切で、最も愛すべき存在を。


”貴女”を。






詩:BDさん イラスト:オペラさん