古城のテラスで僕は風に当たっていた

そよ風が肌をなでる

仮面の下の“傷”でもそれを感じる

ピー

一羽の小鳥が僕の方によってきた

腕を出すと小鳥は、そこで羽を休めた。

腕には皮膚を通しても、小鳥がそこにいることがわかった

僕は時折、“感じる”ことができなくなる

“見る”ことができなくなる

“動かす”ことができなくなる

それは僕が“つくられた”故なのだろう

僕と同じ者は他にもいるらしい

小鳥が飛び立つ


ここ最近は調子がいいらしい

足音が聞こえてくる

「ノアズ様、こちらにいらっしゃいましたか」

彼は僕を探していたらしい

「レギオン様がお呼びです」

「わかった」

それを伝えると彼は足早に去っていった

レギオン・・・、僕の父のような人

そして、僕のこの“つくられた命”を捧げるに値する人


その場を後にしようとした時、ふいに僕は感じた

風が変わった・・・か

先ほどのそよ風とは違い、まとわりつくような風であった

戦の予感が僕の頭をよぎった


*****


レギオンはノアズの治療データに目を通していた

ノアズの体調は戦闘に出しても問題ないところまで回復しているとのことであった

そして、レギオンはノアズのDNAデータを映し出した

傍らにもう一つのDNAデータを表示させる

それは、自分の、レギオン自身のものである

レギオンはその二つを見比べ、微笑を浮かべる

「これを見るたび、人の思い上がりぶりがよくわかるな」

この二つは現実ではありえない、しかし、偽りなき真実を語っていた



それは・・・、ノアズがレギオンの父親であるということを語っていた。



≪-血の証明- 〜完〜≫