長老じじによく聞かされていた言葉・・・



朝陽に続き目覚め・・・

月光に誘われて眠れよ・・・

地に立ち、風の香りを愛で、水と戯れ、火の温もりを感じよ



日々、喜び、怒り、哀しみ、楽しむ

そんな当たり前の日常は・・・
唐突に終わりを迎えた

私は・・・・時を・・・奪われた・・・


地獄に等しい日々をすごし、その終焉に・・・死を与えられた。

・・・・与えられたはずであった・・・・

しかし、私は・・・生きていた

私の周りにはすでに宿主が旅立った後の空の器達のみであった。

私は・・・駆け出した

駆け出して、這いずり回った。

片足が折れ、片方の肩がはずれ、片目を失っても・・・、私は止まろうとはしなかった

ついに全身が動かなくなってきた

片方の瞳から、涙がとめどなく溢れてきた

空はそれに呼応するかのように、雫が次々と落ちてきた

雫は勢いと激しさを増していった

いっそ、すべてを洗い流していってくれたら、どれほど楽なことなのだろうか

しかし、この雨は、洗い流してはくれなかった。

涙を、傷を、痛みを、記憶を・・・・



私は・・・・泣いた

喉が潰れてもおかしくない、声にならないほどの音で

どんなに泣き叫んだところで・・・誰に届くというわけでもないのに


― 大した泣き声だな ―

・・・・・!




≪-生と死の狭間で- 〜完〜≫